カラフルな色をした可愛いお菓子、おいしそうな色をした加工食品など、見ているだけで食欲がわいてきたり、気持ちがワクワクしてしまいますよね。
このきれいな色はどのようにして発色させているのでしょう。
食品成分表示をみると、「天然色素」に分類される着色料が書いてあります。
天然色素なら身体に悪いものではないわねと思って安心している方も多いのではないでしょうか?
実はこの天然着色料の中には「虫」を原料としているものもあるのです。
そこで今回は、着色料のもとになる虫を一覧にして調べてみました。
着色料は虫が原料になっている⁉食品に含まれる虫一覧
赤色の着色料を作り出す虫
赤色の着色料である「コチニール色素」。
この着色料はさまざまな食品や商品に幅広く使われています。
別名ではコチニールエキス、カーマイン、カルミン酸、赤4号。
この「コチニール色素」は中南米などに生息する「エンジムシ」「ラックカイガラムシ」という虫から作られています。
虫が苦手な人もいると思うので、どんな虫か知りたい人だけ下記の虫の名前をクリックしてみてください。
家庭菜園やガーデニングをしている人はなじみがあるのではないでしょうか?
大切な植物にくっついて、養分を吸ってしまうアノ虫の仲間ですね。
キレイな赤色の着色料の原料であるメスのカイガラムシは、約3mm程度の非常に小さな昆虫です。
このコチニール色素は少なくとも10世紀ごろから使われており、すでにそのころにはメキシコなどでは飼育されていました。
その当時は食用としてではなく布の染料として使用されていました。
ウチワサボテンに寄生する特性を利用しながら養殖し、大事な輸出品として大量に養殖していました。
2005年の段階ではペルーで200トン、カナリア諸島で20トン生産されており、日本にも多く輸入されています。
作り方としては、メスのカイガラムシを熱湯でゆでて天日で干して乾燥するという簡単な方法で着色料として使用できます。
現代ではエチノールで抽出させる方法も取られています。
1kgのコチニール色素を得るのに、80,000~100,000匹のカイガラムシが必要とされています。
食品の成分表示にはエンジムシ由来のものならば、「コチニール色素」「カルミン酸色素」「着色料(カルミン酸)」「着色料(コチニール)」と書かれていることが多いです。
カイガラムシ由来ならば、「ラック色素」「着色料(ラッカイン酸)」「着色料(ラック)」と表記されています。
・かまぼこ
・イチゴ味のかき氷
・アイスクリーム
・ハムやソーセージ
・イチゴジャム
・ジュースなど
食品のほかには化粧品にも多く使用されています。
例えば、赤色やピンク色のリップクリームや口紅。他にはアイシャドーにも使われています。
商品表示では「カルミン」として表記されています。
青色の着色料を作り出す虫
青色の着色料で一般的に使われているのはブリリアントブルー(青色1号)です。
これは石油から抽出される着色料なので虫ではありません。
その他にもスピルリナから抽出されるフィコシアニンもあります。
このスピルリナも虫ではありません。
無機塩濃度の高いアルカリ性の沼に自生する藍藻類です。
約30億年前に誕生したらせん形をした小さな藻で、光合成をおこないます。
このフィコシアニン色素は、あの有名なガリガリ君ソーダ味の色でもあるんですよ。
・ソーダアイス
・乳製品
・ジュース
・グミ
・粉末ジュース
・清涼菓子
・ゼリー
・わさびなど
緑色の着色料を作り出す虫
緑色の着色料の一つに銅クロロフィルというものがあります。
この銅クロロフィルはクロレラや牧草から抽出したクロロフィルから作られる場合もあるが、ほとんどは中国から輸入されるフィオフィチンを原料にして製造されています。
このフィオフィチンは蚕の糞の中に大量に含まれるクロロフィルを酸性条件下で溶媒抽出してえられたものです。
このフィオフィチンは「蚕沙(さんしゃ)」とも呼ばれており、昔から漢方薬などに使用されてきました。
蚕沙は蚕の幼虫が食べ残して消化できなかった桑の葉と蚕の糞からできています。
この蚕沙の中に含まれる葉緑素(クロロフィル)と銅を結合させると銅クロロフィルという緑の着色料になります。
この蚕沙は血液の流れを良くしたり、神経痛や関節痛・胃痛に効くとされているため、この蚕沙を活用した蒸留酒やクッキーが販売されています。
このほかに緑色の着色料としてミドリムシもあります。
しかしミドリムシは単細胞真核藻類の一つです。
ミドリムシは鞭毛運動をする動物的性質を持つため「ムシ」という名前がついていますが、光合成をする藻の一種なので植物に分類されます。
「抹茶アイス」や「抹茶ケーキ」など、商品によっては抹茶を使わず銅クロロフィルを使用している場合もありますので、原材料名を確認してくださいね。
・チューイングガム
・生菓子
・アイス
・チョコレート
・魚肉ねり製品
・あめ類
・みつ豆缶詰中の寒天
・昆布
・野菜や果実類の貯蔵品
ピンクの着色料を作り出す虫
いちご味のチョコレートやイチゴミルクなどかわいいピンクのお菓子に使われる着色料の中には、コチニール色素もあります。
赤い着色料でも説明しましたがコチニール色素の原料はエンジムシやカイガラムシです。
・イチゴミルク
・イチゴ風味のお菓子
・ジュース
・あめ
オレンジの着色料を作り出す虫
オレンジ色の着色料の中にもコチニール色素が使われているものがあります。
コチニールはPHにより色調が変化するため、酸性側に変化した場合にはオレンジ色になります。
・ジュース
・あめ
・ガム
・スナック菓子
・ビスケット
・畜産加工品
・レトルト食品
・麺類
・介護食
・ゼリー飲料
着色料に含まれる虫の安全性は?
日本ではコチニール色素は食品衛生法で添加物の一つとして定められています。
あらゆる安全性試験の結果に問題は見られません。
FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会ではコチニール色素の1日摂取許容量を体重1kgあたり5mgとしています。
成人の場合、体重60kgであれば300mgまで摂取しても問題ないということですね。
コチニール色素は身体に弊害の少ない着色料として食品・飲料以外にも化粧品などにも使われています。
着色料に含まれる虫によるアレルギーの心配は?
天然由来の着色料なので安全性は高いといわれていますが、アナフィラキシーショックや喘息、皮膚の炎症やかゆみなどのアレルギー反応を発症する可能性はあります。
コチニール色素を使った食品や化粧品の製造にかかわる人の間でもこれらのアレルギー反応を発症した人がでています。
1960年代から症例などの報告が上がっており、2012年に消費者庁が「コチニール色素に関する注意喚起」を公表しています。
これらをうけて、コチニール色素の使用からパプリカ色素やトマト色素に変更するお菓子やジュースなどの商品も増えていますが、まだあらゆる食品や商品にコチニール色素が使用されています。
まとめ
実際に虫を使用している着色料は赤系のコチニール色素だけでした。
このコチニール色素はお菓子やジュース以外にも加工食品や化粧品など様々な商品に使用されていることがわかりました。
少量摂取する分には問題ないようですか、常に使用したり大量に摂取する場合には注意が必要のようです。
また、すべての赤色色素にコチニール色素が使われているわけではありませんので、不安に思った方は商品の原材料名をしっかり確認しながら購入されてくださいね。
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