真夏の暑い中で、ご先祖様をお迎えする行事として行われるお盆。
日本では、昔から行われている行事であるお盆ですが、お盆ではなすときゅうりを使って「精霊馬」を作りますよね。
お盆では必ず見かけるものですが、どのような意味があるのか、ちゃんと知らないという人も多いのではないでしょうか?
わりばしを、なすやきゅうりに刺して馬の形を作りますが、どうしてなすときゅうりなのかも気になりますよね。
そこで今回は、お盆になすときゅうりで作る精霊馬とは何か?なぜ「なす」と「きゅうり」なのか?また地域による違いなどもご紹介します。
お盆にお供えするなすときゅうりの「精霊馬」とは?
それでは早速、お盆にお供えする、なすときゅうりの精霊馬について調べていきましょう。
お盆の「なすの牛」と「きゅうりの馬」なのはなぜ?
まずは、なぜ精霊馬は「なす」と「きゅうり」を使うのかについて解説していきます。
日本には、「なす」と「きゅうり」の他にも、精霊馬に使えそうな野菜はたくさんありますよね。
ご先祖様の乗り物としてお供えするのならば、もっとどっしりとした形の野菜でも、良いのではないかと感じてしまいます。
実は、お盆の精霊馬でなすときゅうりを使うのは、理由があるのです。
「なす」と「きゅうり」は、夏野菜として知られていて、お盆の時期が一番おいしいと言われています。
ご先祖様に、旬のおいしい野菜をお供えするという意味もあって、「なす」と「きゅうり」が選ばれたのでしょう。
もともとは、「なす」と「きゅうり」をそのままお供えしていたという説もあります。
それがいつしか、精霊馬の形となってお供えされるようになり、今の形へと定着したというわけですね。
しかも、「なす」と「きゅうり」は全国各地で収穫する事が出来る野菜なので、どこにいても手に入れる事が出来ます。
安定的に手に入る野菜で、なおかつ旬のおいしい野菜という事で、なすときゅうりが使われるようになったのです。
また、なぜ「牛」と「馬」なのかについてですが、これにもちゃんと意味があるのです。
馬は、足が速い事で知られていますよね。
そのため、あの世から早く家に戻ってこられるようにとの願いを込めて、「馬」に見立てられていると言われています。
また、逆に「牛」は歩くのがゆっくりな動物として知られているので、少しでもご先祖様にこの世でゆっくりしていってもらって、帰るのを遅らせようという願いが込められていると言われています。
お盆の「なすの牛」と「きゅうりの馬」に向きはある?
では次に、お盆の「なすの牛」と「きゅうりの馬」には向きがあるのか、について解説していきましょう。
お盆の「なすの牛」と「きゅうりの馬」には、それぞれお役目があります。
「なすの牛」には、ご先祖様をお送りするという役目があり、「きゅうりの馬」には、ご先祖様をお迎えに行って家まで連れてくるという役目があります。
そのため、迎えに行く役目のある「きゅうりの馬」は内向きに飾り、お送りする役目のある「なすの牛」は外向きに飾るようにしましょう。
では、実際に飾るための精霊馬の作り方も、簡単にご紹介しておきましょう。
・なす:1個
・きゅうり:1個
・わりばし:1~2膳
① わりばしを、使用する野菜に合わせて、適当な長さに切ります。
② きゅうりは馬に見えるように、なすは牛に見えるように、それぞれ長さに各4本用意します。
③ 四つ足の動物に見えるように、わりばしを野菜にさしたら完成です。
このような手順で精霊馬を作っていきましょう。
わりばしを、動物の足に見えるように切る部分だけ、少し難しいかもしれませんが、実際になすやきゅうりに刺していくと、思いのほか動物っぽく見えてくるので大丈夫です。
コツとしては、なすの方が少しだけわりばしを短めに切ると、より牛っぽくなります。
きゅうりの方は、逆に長めにわりばしを切れば、足の長い馬のように見えるので、試してみてくださいね。
ご先祖様が、快適に乗れるように心を込めて作れば、多少不格好な精霊馬でも愛嬌があって良いかもしれませんよ。
お盆にお供えするなすときゅうりの「精霊馬」は地域によって違いはある?
それでは次に、お盆にお供えする「なす」と「きゅうり」の「精霊馬」は、地域によって違いがあるのかについて調べていきたいと思います。
お盆の精霊馬は、ほとんどの場所ではお馴染みの光景ですが、地域によっては馴染みのない場所もあります。
そもそも、精霊馬をお盆に飾らないという地域もあるのです。
全国的に見てみると、日本で精霊馬を飾るのは、主に東日本のみと言われていて、西日本の地域では精霊馬は飾らないとされています。
また、飾る地域の中でも、それぞれ特徴が異なるという事が分かりました。
北海道から中部地方の地域では、精霊馬を飾る場合、お送りの日(送り盆)にしか精霊馬を飾らないというケースもあります。
お土産を持って、あの世に帰ってもらおうという風習によるもので、送り盆にしか飾らない地域では、お供え物とともにその日のうちに精霊馬を処分します。
また、西日本の地域の中で飾る地域では、逆にお迎えの日(迎え盆)の朝に精霊馬を用意して、お供えと共に飾るという地域もあります。
さらに、精霊馬を飾らない西日本では、精霊馬の代わりに「精霊舟」を作ります。
精霊舟は、麦わらや木で作られた舟で、提灯を灯したものや花で飾ったものなど様々です。
お盆にお供えするなすときゅうりの「精霊馬」は宗派による違いも?
では次に、お盆にお供えするなすときゅうりの精霊馬は、宗派による違いはあるのでしょうか。
実は、仏教の宗派の1つである「浄土真宗」では、地域に関係なく精霊馬は飾りません。
浄土真宗での考え方として、故人は亡くなった瞬間から、成仏して極楽浄土へ導かれ仏様になると考えられており、冥福を祈ったり供養したりする風習がないのです。
そして、お盆にご先祖様をお迎えするという風習が無いことから、精霊馬だけでなくお盆の飾り付けなども行いません。
お盆にお供えするなすときゅうりの「精霊馬」はいつからお供えするもの?
それでは最後に、お盆にお供えするなすときゅうりの「精霊馬」は、いつからお供えするものなのかについて解説していきましょう。
お盆は、地域によって多少日にちが異なりますが、一般的には7月13日から行う地域と、8月13日から行う地域があります。
7月13日から行う地域に関しては、7月15日を中心として、13日~16日の4日間がお盆の時期となります。
そして、8月13日から行う地域に関しては、8月15日を中心として、13日~16日の4日間がお盆の時期となります。
宗派や地域によって違いがあるので、決まった日にちはありませんが、このお盆の期間中の、迎え盆または送り盆の時に、なすときゅうりの精霊馬を飾るという形になります。
まとめ
さて今回は、お盆にお供えする「なす」と「きゅうり」の「精霊馬」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
精霊馬は、地域や宗派によって、それぞれ形態が変わってきます。
また、飾る時期なども異なるので、同じ日本の中でも特徴があって面白いですね。
全国各地で手に入りやすい、「なす」と「きゅうり」を使い、旬のおいしい野菜でご先祖様をお迎えしようという日本が昔から大切にしている風習。
これからも、このような風習を大切にしていきたいですね。
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