私達の身の回りには和菓子、洋菓子様々なお菓子がありますが、ふとした時にその形や中身、保存の仕方、食べ方などに疑問を持つことはありませんか?
洋菓子はもともと外国のお菓子なので分かりますが、和菓子でも知らないこと多いですよね。
例えば「桜餅」はどうでしょうか。
ピンク色の綺麗なお餅に、霞んだ緑色の葉が巻かれていて、春の桜の季節にはぴったりのお菓子です。
でも、桜餅の葉っぱは、食べるものなのでしょうか?
子供のころは、漠然と桜餅の葉っぱは食べてはいけないものと思っていた方も多いかもしれません。
そんな、ちょっとした桜餅の疑問から正式な食べ方や作法などを詳しくみていきましょう!
桜餅の葉っぱは食べてはいけないの?桜餅の葉っぱの種類は何?
桜餅といえば、印象的なのはピンクの御餅に巻かれた、いい香りのする葉っぱですよね。
あの葉っぱ、子供のころは舌触りがあまりよくないし美味しくないので食べなかったけど、大人になって、あの独特の風味が美味しく感じられ、好きになった方も多いのではないでしょうか。
実際、でも桜餅の葉っぱを食べてよいかどうか聞かれると困ってしまいますよね。
食べても良いのでしょうか?
桜餅に使われている葉っぱの種類はなに?
そもそも、桜餅の葉っぱとは一体何なのでしょうか?
実は「桜餅」というだけあって、主にオオシマザクラの若葉が使用されています。
桜餅の葉っぱは花見で見る桜の種類、ソメイヨシノとは違うものなのです。
オオシマザクラの葉っぱは、産毛が少なく柔らかいため食べやすいです。
オオシマザクラの主な産地は伊豆地方で、毎年収穫した葉っぱを半年ほど塩漬けにして、桜餅を作っています。
多くの店ではオオシマザクラの葉を使用しているが、じつはほかの品種の葉でも作れます。
でもオオシマザクラの葉はサイズもほどよく、柔らかいため桜餅の葉に適しているのです。
桜餅が発祥した当時はサクラといえばオオシマザクラでした。
ソメイヨシノは、歴史的には新しい品種で、エドヒガンとオオシマザクラの交配種であり明治時代以降に広まった桜なのです。
まだソメイヨシノが広まっていない時代に作られた桜餅は、オオシマザクラの葉っぱが使われていました。
その名残りからか、多くの桜餅に今でもオオシマザクラの葉っぱが使われているのです。
桜餅の葉っぱは食べてはいけないと言われる理由
桜餅の葉っぱを食べるか食べないか、どちらが正解なのでしょうか。
結論から言うと、これといった決まりはありません。つまり、食べるのも食べないのも本人次第です。
インターネットのアンケートを見ても、葉っぱを食べるか食べないかはほぼ互角で、食べる側の意見としては葉っぱの塩気も含めて桜餅だと考える人が多く、食べない側の意見としては葉っぱの味に餅の風味が負けてしまうとの声がありました。
桜餅を作っている店によっては「葉っぱまで食べてしまうと、餅の味が負けてしまうため葉っぱは食べないでほしい」という店もあれば「桜葉餅」という葉っぱを主役に販売している店もあります。
しかし、ほとんどの和菓子屋では、葉っぱを外して食べるのを推奨しています。
葉っぱは食べるためではなく、香り付けや乾燥を防ぐために使われているからです。
食べるのを推奨している店では、葉っぱの食感や味も含めてバランスよく作られているのです。
また、桜の葉にはクマリンという芳香成分が含まれています。クマリンには血液凝固を抑える効果もあるため、医薬品に活用されています。
しかし、クマリンを過剰摂取すると肝臓に悪影響を与えるおそれもあります。これが、桜餅の葉っぱを食べたら危険だ、といわれている理由ですね。
桜餅の葉っぱを食べるにしても、少量にしておきましょう。
ちなみに、同じく餅に葉を巻いたお菓子といえば、「柏餅」がありますが、柏餅は皿や容器の代わりとして使われているのが特徴で、桜餅の葉のように塩漬けにされているわけでもなく、食べても美味しくないため基本的には食べないとされているそうですよ。
なぜ桜餅には葉っぱが巻かれているの?
桜餅の葉っぱは、そもそもなぜ巻く必要があるのでしょうか。
桜餅の葉っぱを巻くのには3つの理由があります。
餅の乾燥を防ぐ
まず1つ目は、餅の乾燥を防ぐためです。
餅は乾燥してしまうと固くなってしまうので、固くなるのを防ぐため、葉っぱを巻いて餅の露出を少なくしているのです。
香りづけ
2つ目は、香り付けのためです。
桜の葉っぱを塩漬けすると、クマリンという香りの成分が出ます。
また、それに伴い抗菌作用も生まれます。
葉っぱを巻いて餅にほのかに香りが移ることで、より春らしいお菓子になるのです。
塩味を付けるため
3つ目は、塩味を付けるためです。
塩漬けした桜の葉っぱを巻くことで香り同様、ほんのり塩気が移ります。
塩気は、餡や餅の甘みを引き立ててくれる重要な役割があるのです。
以上3つの理由から、桜餅は葉っぱなしでは成り立たないことが分かりますね。
そもそも、桜餅に桜の葉を巻いているのは、じつは偶然の産物なのだそうです。
桜餅が生まれたとされる1717年に、向島にある長命寺の門番が、名物の桜の葉の処分に困って塩漬けにしたのがはじまりだったとされています。
拾った桜の葉を上手く活用しようと考えた門番がいたからこそ、いまの美味しい桜餅が存在するのですね。
桜餅の葉っぱごと食べる?正式な食べ方や作法とは
和菓子は基本的には、一口ずつ、切ったり割ったりして食べるといいでしょう。
小さなフォークが添えてあればフォークを使用して、左から一口大に切りわけます。
また、黒文字の木から作られる「黒文字」と呼ばれる妻楊枝がついていれば黒文字を使用しましょう。
ただ、桜餅は黒文字や小さめのフォークでは正直食べ難いので、手で持ってそのまま食べて大丈夫です。
普通、和菓子は小皿か懐紙に乗せた状態で供されるので、切ったお菓子がこぼれないように、小皿や懐紙は持って食べても構わないです。
この時、口を皿や懐紙に近かづけるのではなく、お菓子を持った手を口に近づけます。
食べる時の姿勢も大切ですね。
桜餅は桜の葉をむいて食べる方と、桜の葉のまま食べる方がいますが、先ほど伝えたように、桜の葉は食べるために付けられたものではないので、葉をむいて食べたらよいと思われます。
桜餅というと、
✅関東ではクレープ状にあんを巻いた「長命寺(ちょうめいじ)」
✅関西では粒々の道明寺粉で作ったお餅であんを包んだ「道明寺(どうみょうじ)」
が一般的です。
お餅の形が異なりますが、桜の葉っぱが巻かれているということは共通しています。
道明寺は葉っぱがお餅にくっついてはがしにくいため、人前で食べる際はつけたまま食べる方がスマートかもしれません。
また茶道の場で提供された場合は、葉を切るのが難しいため、はがして食べることも多いそうです。
その場に応じて食べるのが、最適ですね。
でも、葉っぱごと食べるとあんの甘味と葉の塩気が何とも言えないハーモニーを醸し出すので、葉のまま食べるのもお勧めですよ。
まとめ
桜餅、葉っぱを食べたことがない方は、一度食べてみたらいかがでしょうか。
意外と美味しくいただけるかもしれませんよ。
春が近づくと、季節のお菓子をみんなで食べる機会も多いかもしれません。
きちんとしたお茶会にお呼ばれすることもあるかもしれませんので、そんな時に、疑問なく美味しいお菓子を楽しめたらいいですね。
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